第363回サンデーセミナー(2019年10月)認定薬剤師指定在宅セミナー

第363回 サンデーセミナー

薬剤師認定制度認証機構(CPC)G03 一般社団法人 薬剤師あゆみの会
「認定薬剤師指定在宅セミナー(※)」
薬剤師あゆみの会 認定薬剤師の認定には、申請期間中1回以上、本会が実施する指定セミナーへの参加が必須条件です。
【日時】 2019年10月20日(日) 9:30~15:00
【会場】 ピュアリティまきび 飛翔の間
【講義プログラム】
 ■『疫学方法論とその応用:環境保健の事例を通して』
  頼藤 貴志 教授
  (岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 疫学・衛生学分野)

 ■『訪問診療で大切にしていること~緩和ケアを中心に~』
  國末 充央 先生
  (グリーン在宅クリニック 院長)

 ■『肺がんの診断から治療まで』
  月山 恭伸 氏
  (アストラゼネカ株式会社)

【研修認定単位】 2.5単位

 

 

【研修の様子(1)】 

頼藤教授(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科)から、医学研究における基本的考察として、因果関係のデータ検証に用いられる『疫学方法論』と、それを大気汚染の健康影響に応用した例を講義していただきました。

 

yorifuji_prof

 

【受講者のこえ(1)】

 大気汚染や水俣病などの事例を基に、とてもわかりやすく疫学方法論について学ぶことができました。

 疫学研究のように多角的な視点でデータを評価考察できるようになりたいです。

 いろいろなデータには、多くの研究者の人たちがかかわっているということを実感しました。そのデータを利用し患者さんへ適切なアドバイスができるようにしていきたいと思います。

 原因と結果が数字として一見してわかりやすいので効果をエビデンスをもって患者さんに示しやすいです。

 疫学は普段なかなか接する機会も少ないため難しかったが、病気の因果関係など知ることは大切なので、知識としてもっと身につけなくてはならないと感じた。

 統計学や疫学は学生時代以来でした。オッズ比とか名は聞くけどよくわかってないものとか、わかりやすくまとめてくださってよかったです。

 今まであいまいにしか理解していなかったオッズ比、リスク比について、確実な情報を得ることができた。様々な研修会でもよく出てくる図表の理解に必要な学問なので、薬のSEの理解にも役立つ内容でよかったです。

 疫学について学生時代に学んだことを思い出す良い機会になりました。水俣病や大気汚染物質などの実例を交えながらだったので興味深く聞くことができました。

 親がタバコを喫っている家庭では子供が風邪や中耳炎になりやすいというデータがあり、子供のいる親に禁煙指導をしていきたい。

 様々な患者様が来局される中、それを個々で見ることも大切だがグループで見ることも大切なことがよくわかりました。

 疫学について総合的に勉強することによって薬の説明をもっと批判的に読めるようになると思います。

 疫学を活用することにより、病気を予防出来たり健康維持に役立つ。患者さんに対してもより説得力ある説明ができるようになると思います。

 元々は集団を対象として伝染病を研究対象として始まったようですが、研究対象・調査対象は多様化していますね。大気汚染とアレルギーの関係についてもっと知りたいと思いました。

 メーカや卸の言葉を疑ってみる、正しいかを自分で判断できることはEBMの実践の中でも身近なことだと思うので、できるようになりたい。

 医薬品情報のパンフレットも改めてデータの読み取りに役立てていきたいです。リスク比など数値としてわかるものは患者さんの理解にも役立てたい。

 

  ======================================

 

【研修の様子(2)】 

つづいて、 國末ドクター(グリーン在宅クリニック 院長)からは、『患者本位・全人ケア・(患者さんの)自己重要感』を理念に掲げる、國末先生の訪問診療についてお話しいただきました。
そして「我々の仕事は、患者さんが自分の価値を思い出すお手伝いです」と、苦しんでいる患者さんの理解者になるための『援助的コミュニケーション』について具体的な手法を教えていただきました。

 

kunisue_dr

 

 

【受講者のこえ(2)】

 苦しんでいる方の理解者になるための話の聴き方について、すぐに実践していきたいと感じました。

 今回学んだ、患者さんの自己重要感を高める接し方を今後も真剣に考え続けていきたいと思います。

 よき理解者になるには、話を聴くことがとても大切だとわかった。仕事でも私生活でも役立つと思うので実践したいと思います。実際の患者を相手にするコミュニケーションの技法、考え方を学べたので、服薬指導の時の参考にしたいと思います。

 投薬時でも例えば癌の告知を受けた方やご家族の戸惑いに触れたとき、私自身どう接すればよいか悩むことがよくあり、後になってこう声掛けすれば良かったなとか思うことがあります。患者様の気持ちを少しでも理解することができるよう話をしっかり聴き、安心して気持ちを話してもらえる薬剤師になりたいと思った。日頃の業務でなかなか難しいなと感じていたことを教えていただけたので、すごく勉強になりました。明日からの業務に生かしていきたいです。

 國末先生のお話で、患者さんの病気に注目するだけでなく、患者さん自身にもっと関心を持つことが重要だと気づかされました。外来の患者さんにも薬の話だけではなく趣味の話などができる関係性ができれば、精神的な面からもケアが少しでもできるのではないかと思いました。

 服薬指導をするときも、ただ必要なことを伝えるだけでなく、話を聴いてもらえるという安心感がとても大切。オウム返し等の技術を取り入れていきたいです。

 患者さんと日々接する中で、傾聴の大切さを感じています。こちらが躊躇してしまう質問をされることもあります。泣きながら話されることもあります。思いを受け止めたい気持ちもありますが「この対応でよかったのか」といつも自問自答していました。國末先生のお話から少し勇気を頂けた気がしています。患者さんの理解者となれるよう寄り添う姿勢をなくさず日々の業務を行っていきたいです。

 一番心に残ったのは、相手の理解者になるためには沈黙も大切だということです。どうしても沈黙は気まずくて何かしゃべらなきゃと思いますが、あえて話さないことも大切だということに驚きました。

 患者が医療関係者に求めることの中には、医学的な面とは関係ない精神的な部分もあるということを忘れないようにしたい。

 高齢の患者さん、配偶者を亡くされた患者さんが「死にたい」「早く迎えに来てほしい」と言われることはよくあり、それに対しても反復で返して構わないというのは驚きでした。

 薬剤師の業務が対物から対人に変わろうとしている中で、コミュニケーションスキルはますます重要になってくると思われます、医薬品の情報を患者様に正しく伝えることに加えて傾聴のスキルを活用して患者様の良き理解者になった上で服薬後の状態を観察、それを適切にフィードバックすることが重要と思われます、たいへん勉強になりました。

 

 

【同日、富永薬局の社内薬剤師研修も】

毎年、4月・10月のサンゼミでは、富永薬局グループの社内薬剤師研修会が同時開催されます。

15時からは、グループワークを含む「医療安全管理研修」を実施。

いつもは別々の店舗で仕事をしている薬剤師たちが会し、共に意見を交わしました。

yakuzaishi

第363回サンデーセミナー(2019年10月)認定薬剤師指定在宅セミナーメニュー