第381回サンデーセミナー(2021年4月)【オンライン】薬剤師の力で健康寿命を延ばせ!

第381回 サンデーセミナー

【日時】 2021年 4月18(日) 9:50~12:30
【会場】 zoom会議室

     セントラルフォレスト(岡山市北区本町6-30第一セントラルビル2号館8階)より中継
【講義プログラム】
 ■『薬剤師ができる医療安全』
  森 英樹 先生
  (岡山赤十字病院 薬剤部長)

 ■『臨床検査値の読み方と活用法』
  横溝 秀明 氏
  (沢井製薬株式会社)

【研修認定単位】 1.5単位

 

団塊Jr.が後期高齢者となる2050年問題。寿命延伸とともに介護期間も伸びています。世界一の超高齢化社会を迎える日本の問題点と、その高齢化社会において医療安全の視点から薬剤師が果たすべき役割について、岡山赤十字病院の森薬剤部長にご講演いただきました。
健康寿命を延ばす=要介護状態の期間を短くするために、生活習慣病予防・介護予防の重要性が増しています。特に、要介護状態のきっかけになりやすい高齢者の転倒や転落による骨折。そののリスクはBZ系薬剤で1.4倍、ポリファーマシーで1.7倍上昇する、という事実から、漫然投与や眠剤・向精神薬の適正使用に薬剤師がどのように関わっていけばよいか事例をあげてお話しくださいました。
そして、ACPの概念、今回のコロナ下で考えるべきパンデミックへの対応、日赤フォーミュラリーについてなど、話題は多岐にわたっていきます。盛りだくさんな内容でしたが、森先生の楽しく軽快な弁舌で、あっという間に時間が過ぎていきました。

 

 

【受講者のこえ】

 高齢患者の多い立地で8割以上の来局者が何かしらの睡眠剤を服用しているので、薬剤変更をDr.に提案したり、患者さんにどのようにすれば良い睡眠がとれるのか説明して、業務に生かしていきたい。

睡眠薬は多くの患者さんに処方されているので、せん妄発症のリスク、筋弛緩作用による転倒転落リスクが高いことを意識して服薬指導を行いたい。転倒リスクや薬の特性などわかりやすい講義で、今後に生かせる内容ですごく勉強になった。非BZ系でも転倒リスクがあることをぜひ患者さんに知ってほしいと思った。特に高齢者は夜トイレに行く回数も多いので気をつけてもらいたい。

BZ系、H2ブロッカー、コルチコステロイド服用中の患者さんの薬剤性せん妄の副作用チェック漏れの内容にしたい。自分も健康寿命を延ばすため、朝の光を浴びて、人としっかり交流して、最期をどのように迎えたいか家族と話し合います。

医療安全における薬剤師の役割が、幅広く奥深いことをあらためて認識いたしました。

平均寿命と健康寿命の差が岡山県では大きいことに驚いた。体を動かすこととコミュニケーションが必要であることを頭においてアドバイスしていきたい。メトトレキサート、フォリアミンを服用している患者さんなど、きちんと理解している前提で投薬しているが、毎回きちんと確認することが必要だと感じました。
眠剤の服用時間の話がありました、不眠を訴える患者さんによっては眠くならないから夜中の3時頃眠前の薬を服用するという話を聞くことがある。その日のうちに服用するべきだなと、理由も含めて説明しなければと思います。

医療トピックを多く知っておくことで患者さんのアドヒアランス向上につなげることができます。

超高齢化社会において健康寿命を上げるために日々の患者さんとのコミュニケーションを大事にしていきたいです。当たり前だと思われることに気付きにくくなるのが老化だと思うので、せん妄が起こりやすい薬などは特に気をつけて、患者さんのサインを見逃さないようにしたいです。薬剤性せん妄の原因薬剤について、オピオイドやベンゾジアゼピン系等は理解していましたが、H2遮断薬については意外でした。新しい知識が得られとてもためになりました。

最新の話題について知ることができ、またその中で薬剤師としてできること、すべきことを考えることができた。ポリファーマシーや睡眠薬の適正使用などは日頃の業務の中で取り組めることだと思う。とても参考になる内容だった。

具体例を挙げながらの薬剤による副作用やその対処法、有効で経済的な医薬品の使用方針の考え方など、内容が多岐にわたり、わかりやすい説明でたいへん理解が深まりました。

岡山日赤での転倒防止の取り組みは実際に事故の防止につながっており、万が一転倒してしまった場合のその後の医療費を考えると、事前に高額になっても安全な薬を使用しておく方が医療にとってお患者さんにとってもメリットが大きいと思いました。疑義紹介をするかためらうことはありますが、知識を増やして医師と対等に話ができるよう頑張りたいと思います。

地域の基幹病院の薬剤部長を演者に迎え、その人の考え方ややりたい事を聞けたのがよかった。今までは災害時にはどうしようと思っても実際の行動にうつすことは無かったが、これを機に何らかの話し合いや提案が出てくることを期待したい。

久々に森先生節が聞けて面白かったです。コロナの接種のこととか対策とか非常時の話を聞きながら学生実習のことを思い出しました。

BZ系、H2ブロッカー、抗うつ剤などのせん妄の副作用リスクについて聞き、高齢患者でそういった薬が処方されている場合はベルソムラやロゼレムに変更したり、PPIに変更したりといった処方提案ができるようになりたいです。

身近な薬剤に対するお話だったので今後の業務に生かしていける内容だった。

医療安全を様々な角度からとらえた内容で、最後まで興味深く聴くことができた。薬薬連携の重要性をあらためて感じた。コロナ下の今、BCPについてはすぐにも取り組むべきだと感じた。

店舗の周辺状況を把握し、万が一災害やパンデミックが起きた時に備えて、医薬品の備蓄リストを作成したり、防災マップをあらかじめ確認したり、近くの医療機関等と連携してBCPを作成しておきたい。日頃の業務の中では正直面倒だが、予め用意しておくことが決して損ではないということが十分理解できました。

薬剤師がチーム医療の一員としてできることがたくさんあることを感じた研修でした。私もその一員になれるよう行動したいと思います。

 

 

続いて、沢井製薬株式会社の横溝秀明氏のご講演では「臨床検査値」について学びます。最近では薬局薬剤師も検査値を目にする機会が増えてきました。
臨床検査値には医療機関ごとの基準範囲があること、これからの薬剤師には検査値を読み解き、副作用のモニタリングや処方提案に活用するスキルが強く求められていることをお話しいただきました。
「患者さんをサポートするうえで最も大切なのは患者さんの状態を把握すること。患者さんがつらいと感じているのであれば検査値だけで判断せず、たとえ数値に異常が見られなくても明らかに具合が悪ければ何らかの対応が必要なので医師に報告相談するべきです」と、S-1服用時の骨髄機能・肝機能・腎機能の検査値の見方など、例を挙げてわかりやすく示していただきました。

【受講者のこえ】

 「基準範囲」と「正常値」は同じ意味ではないことを学んだ。検査値が基準範囲だから大丈夫、という患者さんも多いが、総合的に判断し考えるようにしていきたい。

 臨床検査値は指標として、患者さんに寄り添った服薬指導の大切さを感じました。

 ある患者さんが臨床検査値のデータを持ってこられて「Dr.は問題ないというが説明してくれないか」、と言われたことがある。Dr.の意図を汲みながらチェックすべきポイントを説明していきたい。

 検査値は読み解くのがなかなか難しいのですが、これを機会にもっと積極的に見ていこうと思いました。

 最近は処方せんに検査値が載っていたり、患者さんが持っていたりするので、確認できる時にはしっかり確認し、薬剤の効果や副作用を見ていきたいと思う。

 検査値について考える際、これまでつい基準範囲にとらわれていたことに気付けた。目安としての基準範囲についてはきちんと把握しつつ、もっと患者の症状や訴えに目を向けていきたいと思う。

第381回サンデーセミナー(2021年4月)【オンライン】薬剤師の力で健康寿命を延ばせ!メニュー