第329回サンデーセミナー(2016年12月)

特に赤ワインの健康成分として有名なポリフェノール。お茶、タマネギ、カカオ、大豆…、食物と健康に関する話題では、決まってポリフェノールの名を耳にします。では「ポリフェノール」っていったい何なのでしょうか?

329回サンデーセミナーは、『ポリフェノールとは何か?~食品と生薬のポリフェノール成分~』と題し、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科教授の波多野力先生にご登壇いただきました。

ポリフェノールとは、多くの(ポリ)フェノールという意味で、分子内に複数のフェノール性水酸基を持つ化合物群のこと。様々な食品・飲料に含まれ、生薬や香辛料の重要な成分でもあります。抗生物質耐性菌に対する作用や抗腫瘍作用、記憶改善作用など多様な作用が見出されており、研究の進展が期待されています。80年代からのタンニンの化学構造研究では、地元の岡山大学が多くの成果を上げているそうです。

波多野先生は、岡山の古代栽培植物、古代から現代にいたる薬用植物の歴史など、岡山の身近な食物を歴史的な観点からご紹介くださいました。昔から健康のために農産物を活用してきた岡山で、今ポリフェノールの化学研究が盛んに行われているのはとても面白いですね。

波多野先生、貴重なご講演をありがとうございました。

 

<受講者の声>

○健康意識の高まりから、小児の体質改善のために漢方外来を受診する患者様がよくみられるようになった。今回のような馴染みの深い生薬から知識を深めていきたい。

甘草を抗生物質に併用すると耐性を抑制し効果が復活するなど、併用で良い作用をもたらすこともあるので他の情報も集めたい。

 

○近年漢方は抗がん剤の副作用抑制など、以前に比べ臨床応用が拡がるに伴い処方内容でも目にする機会が増えた。構成生薬については必ず確認するようにしているが、その生薬の成分についてまでは今まであまり意識していなかった。これからは生薬成分も勉強したい。

 

○薬としてのポリフェノールだけでなく、食品のポリフェノールについても様々な効果があることが分かり、日々の食事の大切さも再認識。薬だけでなく食物についても相談やアドバイスができるようになりたいと思う。

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