今日動かなければ明日は手遅れに!薬が効かない薬剤耐性菌の脅威
3月12日の第332回サンゼミでは、就実大学薬学部から塩田澄子教授をお迎えし『薬剤耐性菌の現状と臨床分離されたMRSAから見えること』をご講義いただきました。
薬が効かない薬剤耐性菌の脅威は世界人類的であり、「今日動かなければ明日は手遅れに!」という喫緊の課題です。2014年、WHOは地球規模で拡大しつつある薬剤耐性菌について警告を発し、2015年、WHO総会でAMRに対するグローバル行動計画を採択。それを受けて我が国政府は昨年4月、抗菌薬使用量を3分の2まで減らすことを盛り込んだ、初の行動計画を発表しました。
今回の講義では、薬剤耐性菌の現状について、最新の抗菌薬の手引きを交え、分かりやすく説明をしてくださいました。
「的確な診断に基づいて患者個々に対応して治療効果・副作用を評価した最適の処方がなされ、患者は調剤された薬剤の説明を十分に理解し、正確に使用する」という『医薬品の適正使用』のサイクルを薬剤師は常に意識して業務にあたっています。しかし抗菌薬の適正使用では、さらに耐性菌の出現を防ぐという概念を加えることが大切だと、塩田先生。
安易に抗菌薬を使わないよう適正使用を徹底していくことが求められます。薬剤師は医師の処方意図を汲み、患者の十分な理解を助ける取り組みをしていかなければなりません。日々の仕事の積み重ねが、地球規模の安全保障問題に繋がっていることを感じた講座でした。塩田先生、ありがとうございました!
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受講薬剤師の感想より
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◎とても勉強になった。抗菌剤の不必要性を説明できるようにしたい。
◎感冒の患者さんへの対応例は、具体的ですぐにイメージできた。しっかり復習して実際の現場で活かしたい
◎これから耐性菌が増加していく現状を見据え、感染症予防など患者さん自身が出来ることを伝えていきたい
◎抗菌薬が出ていない患者さんに納得してもらえる説明・服薬指導を考え、身につけておきたい。特に小児の親御さんはナーバスになる方もいるので。
◎今後は抗菌薬の使用について、薬局の外に出て地域住民へ啓発する活動も重要になってくるかも。
◎感染予防し感染制御すること、抗菌薬適正使用で耐性菌の出現を防ぐこと、の両方の視点を忘れないようにする
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第332回 サンデーセミナー
【日時】 2017年3月12日(日)10:00~14:45
【会場】 株式会社エバルス岡山第一支店
【講義プログラム】
■『薬剤耐性菌の現状と臨床分離されたMRSAから見えること』
就実大学薬学部教授 塩田澄子先生
■『肝性脳症について~リフキシマ~』あすか製薬株式会社
■『2型糖尿病合併脂質異常症治療戦略~リバロ、スイニー、デベルザの臨床報告をまじえて~』興和創薬株式会社
【研修認定単位】2.0単位
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