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2020年01月28日

【健康コラム】油断大敵!冬のヒートショック

命の危険は交通事故の3倍以上?!

暖かい部屋から寒い部屋へ移動したときなど、急激な温度変化によって、血圧が急に上昇したり下降したりして身体がダメージを受けます。これが『ヒートショック』です。ヒートショックはとくに冬場に多発。外気温が15℃を下回る時期は空間の気温差が大きくなるため要注意です。

血圧の変動は血管や心臓に負担をかけ、高齢者では、血圧の上昇による心筋梗塞、致命的な不整脈、脳梗塞や脳出血などを引き起こしやすくなっています。また反対に、血圧が低下することでめまいやふらつきが起きやすくなります。

ヒートショックを起こすと心臓や血管に異常が発生して突然死する場合もあります。厚生労働省調査によると、交通事故による死亡者数の3倍以上の方がヒートショックで亡くなっています!決して他人事ではありませんね。

ヒートショック3

 

 

ヒートショックが起こるしくみ

暖房をつけている暖かい部屋から、暖房をつけていない浴室やトイレに移動すると、体は体温を調節するために、ブルブルと筋肉を震わせて熱を作ります。同時に血管を細くして、皮膚の下に流れる血液の量を減らし、体の熱を外に逃がさないように調節します。血管が縮むと、血液が流れにくくなるので、血圧は急上昇します。このとき、心筋梗塞や脳卒中(脳梗塞・脳出血)のリスクが高くなってしまいます。

そして、浴槽の温かい湯につかると、今度は血管が拡張し、急上昇した血圧は急激に低下。めまいやふらつきが起き、または意識を失って、転倒や溺死という結果を引き起こすこともあるのです。

ヒートショック5

 

入浴中の事故は、持病がない場合、前兆がない場合でも発生するおそれがあります。特に高齢者の入浴中の事故は、発生すると入院が必要になる割合が非常に高く、事故の予防が重要です。そのためには、高齢者の方本人が注意するとともに、家族の方など周りの方も一緒になって事故を防止することが大切です。

 

 

 

注意!ヒートショックを起こしやすいのはこんな人

 

65歳以上の高齢者

肥満気味の方

食後すぐや飲酒後に入浴する習慣の方

一番風呂に入ることが多い方

40度以上の熱めのお湯が好きな方

高血圧・糖尿病・動脈硬化などの持病のある方

 

なぜ多い?高齢者の"浴槽内の溺死および溺水"

年齢を重ねれば重ねるほど、高血圧の方が増えます。高血圧であるということは、より血圧の変動が激しくなってしまうため、重篤な症状を引き起こすリスクは高くなります。
また、血管は加齢とともにもろくなり伸縮性がどんどん弱まってきます。このことが高血圧を招くとともに、急激な温度差によってさらに血管の収縮性が弱まり、結果としてさまざまなヒートショック症状を引き起こしてしまうことが考えられます。
しかも若い方に比べて高齢者では、暑さ寒さに対する感覚が鈍くなっています。脱衣所で身体がブルブルしたり、お風呂につかってのぼせていても、感覚的には寒い・熱いと感じにくく、気づかないうちに重篤な症状に陥ってしまうというわけです。

 

 

ヒートショックを予防しましょう

 

下図は、夏と冬の入浴条件の違いをグラフ化したもの。「浴室温度」と入浴中の「湯温」の温度差を見ると、冬場は約32℃くらいまで広がっています。この大きな温度差が激しい血圧変動をおこし、入浴中の事故を引き起こすことにつながります。逆に、この温度差をできるだけ小さくすることが体への負担軽減につながります。

 

ヒートショック6

家の中、温度もバリアフリーに

ヒートショックは、急激な温度差によって引き起こされるため、予防するためには、温度差を極力少なくすることが重要となります。冬は寒いと、熱いお湯に入りたくなってしまいがちですが、消費者庁では湯温の設定を41°C以下にするように呼びかけています。

(1)入浴前に脱衣所や浴室を暖めましょう。
(2)湯温は 41 度以下、湯につかる時間は 10 分までを目安にしましょう

(3)浴室が冷え切っていない午後の早い時間帯に入浴するのもおすすめ

 

国土交通省はヒートショックを防ぐための住宅環境として、次のような温度条件を紹介しています。住まいのなかで寒さや温度差が気になる場所があれば、この値を参考に改善をはかるのもよい対策です。

 ・部屋の温度:15℃以上、28℃以下に保たれている
 ・洗面所、浴室、トイレの温度:冬季で20℃以上

 

 

ほかに気をつけたいこと

(4)浴槽から急に立ち上がらないようにしましょう。手すりがあると安心です。

(5)食後すぐの入浴、またアルコールが抜けていない状態での入浴は控えましょう。

  食後は1時間以上空けてから入浴しましょう。また、飲酒は入浴後にすることもおすすめ
(6)精神安定剤、睡眠薬などの服用後の入浴は危険ですので注意しましょう。

  ほかにも眠気やめまい等の副作用のある薬があります。薬剤師に相談してみましょう。

(7)入浴前と入浴後には水分を補給

(8)入浴する前に同居者に一声掛けておきましょう。

  入浴中にヒートショックが起きても、他の人がすぐ発見して処置をすれば、溺死にまでは至らないことが多くあります。

 

 

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