2020年08月11日
8月は食品衛生月間です
湿度や気温が高くなる夏に心配されるのが食中毒。よく報道されるのは飲食店で発生した食中毒事故などが多いですが、食中毒は飲食店だけでなく家庭でも起こります。
(日本予防医学協会「健康づくりかわら版第224号」より)
夏に発生しやすい食中毒は?
食中毒は細菌やウイルスに汚染された飲食物や、フグの肝、毒キノコなどの有害物を飲んだり食べたりすることによって起こります。その中で梅雨時から夏にかけて発生件数や重症例が多いものは“細菌”が原因である食中毒です。
【主な食中毒菌】 (カッコ内は主な感染源/潜伏期間)
カンピロバクター(鶏卵・食肉/1~7日)
サルモネラ菌(鶏肉/6~72時間)
黄色ブドウ球菌(調理者の手指/1~5時間)
腸炎ビブリオ(魚介類/8~24時間)
腸管出血性大腸菌【O157】(食肉/3~8日)
ウェルシュ菌(煮込み料理/6~18時間)
【主な症状】
激しい腹痛、下痢、吐き気、嘔吐、発熱など
こんな人は特に要注意!
次の項目に当てはまる方は、食中毒の症状が重くなる可能性があります。
◎ 乳幼児や高齢者
◎ 妊娠中
◎ 肝臓疾患、癌、糖尿病の治療中
◎ 貧血(鉄剤を飲む必要のある方)
◎ 胃腸に問題がある(胃腸の手術を受けた、胃酸が少ない等)
食中毒の症状が現れたら、受診をすると共に、上記内容に当てはまっていることを主治医に報告しましょう。
食中毒予防の3原則
①細菌をつけない
手やまな板、調理器具は調理前によく洗い、使用後は熱湯をかける。
野菜は流水できれいに洗い、生肉や魚、卵を触った後は丁寧に手を洗う。
購入時、汁漏れを防止するため、肉や魚は1つずつビニール袋に入れ、氷や保冷剤をあてて持ち帰る。
手や調理器具は食材が変わる毎に洗う。
台所は清潔を保ち、布きん・タオル類は頻繁に取り換える。
清潔な食器に料理を盛り付ける。
②細菌を増やさない
食材購入後は出来るだけ早く冷蔵庫・冷凍庫へ入れる。
冷蔵庫や冷凍庫は詰め込みすぎない。
料理は長時間室温で放置しない。
残った食品は小分けにし、清潔な容器で保存する。
冷蔵でも長期の保存はせず、食べる際は十分に加熱する。
消費期限を過ぎた食品は使用しない。
③細菌をやっつける
食品は中まで十分に火を通す(中心部:75度で1分以上)。
加熱済みの食品でも食べる前に加熱する。
冷凍食品の自然解凍は避け、冷蔵庫や電子レンジで解凍する。
食事を工夫してみましょう
殺菌作用や防腐作用のある食材(ワサビ、ショウガ、ミョウガ、ネギ、ニンニク、タマネギ、梅干し等)を積極的に料理にとり入れましょう。
また、腸内環境を整え免疫力を付けることも大切です。食物繊維を多く含むキノコ類や豆類、海藻類、乳酸菌が豊富なヨーグルトや納豆、ビタミンB群が豊富な豚肉は普段から食べておきたいですね。
同じ食品を食べても、食中毒を発症するかどうかはその人の健康状態とも関係しています。過労や睡眠不足、過度なストレスがある方は、休養や栄養を十分にとることを心掛け、体力をつけておきましょう。
<参考>
厚生労働省HP「食中毒」
(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/index.html)
農林水産省HP「食中毒から身を守るには」
(http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/)
寝かせたカレーにご注意!
カレーは作ったその日より、一晩寝かせたほうが味がなじんでおいしい、とよく聞きます。ところが、この「寝かせたカレー」が原因で、食中毒が起こることがあります。
ウエルシュ菌は、川や土など自然界に広く存在する細菌で、100°Cで加熱しても芽胞(がほう:耐久性の高い細胞構造)を形成するため、完全に死滅させることはできません。1度調理した煮込み料理でも、ゆっくり冷める過程で少量のウエルシュ菌が、酸素の少ない鍋の底などで急速に増殖します。
<予防方法>
◎ 前日調理は避ける。
◎ 加熱した食品は常温放置せず、小分けにして速やかに冷却し、ウエルシュ菌が増殖しやすい43℃から47℃を短時間で通過させる。
◎ 保存する場合は10℃以下で保存する。
◎ 再加熱をする場合は、よくかきまぜて、沸騰させるくらいに加熱する。