第383回 サンデーセミナー
【日時】 2021年 6月20(日) 9:50~12:30
【会場】 zoom会議室
セントラルフォレスト(岡山市北区本町6-30第一セントラルビル2号館8階)より中継
【講義プログラム】
■『薬学部における教育・研究の課題と取り組み』
上原 孝 先生
(岡山大学薬学部 教授)
■『「がん悪液質」「慢性心不全」の新たな治療』
奈良 明佳 氏
(小野薬品工業株式会社)
【研修認定単位】 1.5単位
「薬学部における教育・研究の課題と取り組み」と題し、岡山大学薬学部の上原孝教授にご講演いただきました。
現役薬剤師にとってはちょっと縁遠い話題のような気もしましたが…?
薬剤師をどう育てるかを追究している大学教育の場は、薬剤師の未来を創造する場でもありました。
薬学部における教育・研究の課題とアカデミア発の創薬研究について、そして上原先生のご研究の一端もご紹介いただきました。
少子化や新型コロナによりAI導入・デジタル化が加速され、薬剤師・MR・研究者の仕事にも変化が見られるようになりました。岡山大学薬学部では、先導的薬剤師要請に向けた実践的アドバンス教育プログラム」を全国の他大学と共同で進めています。
医療現場だけでなく創薬、保健衛生領域等、広範囲な領域において指導的立場でグローバルに活躍できる薬剤師の養成は国家プロジェクトに位置付けられるとか。
中でも上原先生は「創薬向けた取り組み」を強化されているとの事。
世界を見ても新薬を作れる国はわずか両手で数えられるくらいしかなく、中でも日本は世界第3位の新薬創出国なのだそうです。薬局を含む医療機関、多職種、さまざまな機能で連携していき、新たな新薬の開発によって一人でも多く方が救われる活動をしていきたいと語っておられました。
【受講者のこえ】
■ 「将来は先細りになっていくのではないか」と漠然とした不安を感じていましたが、上原先生のご講演で、薬剤師の仕事に魅力を感じている子供たちが多いことや、大学でも創薬の研究が進んでいることなどを聞き、将来に希望を持てると思いました。日々の業務や学生実習への協力などを通じて、「薬剤師になりたい」と思う子供が増えるように貢献できればと思います。
■ 薬学部を取り巻く状況は現在働いている薬剤師にも影響し、また社会的ニーズは同一線上にあると思いますので、そのことを心に留めて日常業務をこなしていきたい。
■ 少子化が加速していく中で何が必要なのか、大切なのかを各大学の教授たちが熱心にカリキュラムを組み教育されていることが伝わってきて、最近まで学生だった私にとって貴重な話でした。
■ グローバルに活動できる高度先導的指導的立場の薬剤師の育成のお話から、これからの薬剤師像と役割を感じ取れました。超高齢化社会で人が健康で暮らせるために薬剤師はまだまだ必要とされる存在だと認識できました。
■ 薬剤師の業務でAIに置き換わられやすい仕事と奪われにくい仕事の具体例があり、奪われにくい仕事のコミュニケーション力、在宅医療の分野について今後勉強していきたいと思いました。
■ 個人の薬剤師の業務が唯一無二の存在であるように意識して業務にあたりたいです。
■ 大学薬学部の現状がわかり、新人薬剤師と一緒に働くことになった時の参考になる内容でした。
■ あまり聞く機会のない薬学教育の話を聞けて良かったです。薬剤師が飽和する時代やAIが薬剤師業務を奪う時代が来ても生き残れるような退陣業務の経験を積んでいこうと思う。
■ 時とともに求めらえる薬剤師は変化していくのだろうと感じた。求められているものは何かを常に考え成長していきたいと思う。薬街区業界の現状を知ることができて参考になった。
■ 昨今の薬学部事情が分かり自分が学生だった頃とはずいぶん差があることがよくわかりました。人工知能に置き換わられないようコミュニケーション力を養い、患者さんに寄り添っていきたい。新型コロナウイルスのワクチン、治療薬についても顕著ですが、日本は教育・研究に投資しない国になってしまっているのが残念です。
■ 人工知能やロボットが行える仕事が今後増えてくると言われています。調剤ロボットを使うようになり便利になった反面、薬剤師に求められる分野が変わってきていると感じます。在宅医療等のコミュニケーション力を必要とする仕事にどう向き合っていくか考えていかなければならないと思いました。薬での治療だけでなくヒトが健康でいられるための医療が大切になるのでそこにも目を向けていきたいです。
■ 英語で患者さんとやり取りする、もしくは印刷物を英語で表記する必要性は以前方感じているので、模擬のやりとりを学生時代から学べていたら今後の薬剤師は助かるだろうなあと思いました。オンラインやドローンの導入で助かることもあるだろうから私は必要だと思います、ただ電話でなくオンラインで「顔を見て」が必須だと思います。一方で実際に対面したり訪問することで出てくる気づきも日々多々あるので、これもなくしてはいけない業務だと思います。
■ これから出てくる新卒の人に負けない知識をしっかり蓄えて日々研鑽していかないと!という気持ちが新たになりました。
続いて、国内では治療薬がなかったがん悪液質の新たな治療選択肢が登場したことを受け、小野薬品工業株式会社の奈良明佳氏から、「がん悪質液」とは何か、グレリン様作用薬の作用機序や注意点等を伺いました。
がん悪質液は体重減少、食欲不振、サルぺニア、疲労、疼痛などQOLを低下させるものですが、がんの早期にみられるので早期介入すれば延命につながります。がんの通院治療が増えている現在、薬剤師の患者さんとの関わり方や医療機関との連携がますますクローズアップされますね。
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【受講者のこえ】
■ まだがん悪液質は十分に認知されていないと思う。とても勉強になりました。がん患者さんの体重減少は予後の悪化につながるので抗がん剤服用中の患者さんの食欲不振や体重減少の体調変化を見逃さないようにしなければならない。
■ 新薬の情報を得ることができて良かった。新薬のかかわる疾患につて基礎的なことから最新の話題について学ぶことができてとても参考になった。
■ がんや心不全の患者さんと接する機会は少ないですが、お薬手帳で併用薬をチェックして服薬指導していきたい。
■ 悪質液、慢性心不全の病態も復習でき、知識の整理ができてとてもよかったです。がんや心不全の患者さんとかかわる時に困らないようにガイドライン等を確認して知識を身につけておく。
■ がん悪質液の意味が理解できた。今後がん治療患者様の通院治療も増えてくるので、患者様の栄養状態、サルコペニアに注目して指導していきたい。
■ がん悪質液を治療することでQOLの向上につながることを患者さん家族にも説明したい。がんは瘦せるものだとして特に相談しない患者さんがいるとのことなので、そういった事にも気を遣いたいと思った。