第412回サンデーセミナー(2023年11月)【オンライン】《多職種連携》訪問言語聴覚士から聞く食支援とコミュニケーション

第412回 サンデーセミナー

【日時】 2023年 11月 19日 (日) 9:50~12:30

【会場】 zoom会議室

【講義プログラム】

 ■『経口摂取、コミュニケーションが苦手な方の理解を深める』
妹尾 郷史 氏 (言語聴覚士、支縁の羽 はねる、福祉のまちづくりネットワークかけはしの会 会長)

 ■『新興感染症~COVID-19 を振り返って~』
稲葉 右京 氏 (丸石製薬株式会社)

【研修認定単位】 1.5単位

   

多職種で地域住民の医療と生活を支えるの『地域包括ケア』。
薬剤師は、薬局機能をフルに活用し、多職種と情報を共有し協働して、医薬品を通じた地域住民の健康・医療に貢献する使命がある、とされています。
医療・福祉・介護に携わる様々な専門域から講師をお招きし、連携・協働のヒントを伺っている富永薬局のサンゼミ。今回は、福祉のまちづくりネットワーク『かけはしの会』会長も務められている言語聴覚士の妹尾郷史先生をお迎えしました。

実際にスナック菓子や飲み物で自分の咀嚼から嚥下の動きを体感しながら嚥下メカニズムを学んだり、誤嚥を防ぐためにSTや介護士等が行っている工夫を例示いただいたり、図解も交えた新鮮な情報が盛りだくさん。
「とても勉強になった」
「楽しくてわかりやすかった。これなら忘れない」
「患者様のためにもっと勉強したい」
と、薬剤師から多くの反響が寄せられました。

 

妹尾先生 ありがとうございました。

 

 

【受講者のこえ】

  嚥下に関する問診では、ただ設問に対し「はい」「いいえ」で答えてもらうのではなく、その経緯の確認や、その後の状態、ご本人の希望などの詳細を併せて聞き取ることで、今後の適切なケアに繋げることができる。嚥下機能について、これまで、問題のある方への対応ばかり考えていましたが、今回のセミナー受講後、現状では問題のないように見える方の嚥下機能についても確認する機会を作り、機能が維持できているか知ることが重要と感じました。

  細かいことまで詳しく講義してくださった。擬似的な体験をすることで現在困ってる患者さんに対して理解が深まった。患者さんの機能低下は知識の上でなんとなく理解しているものの、実際どんな感じなのかということを知ることができました。口腔内の環境がとても大事であると言うことも最近よく耳にします。今回の講義で得た知識を患者さんにも伝えていきたいと思います。店舗ご利用の患者様は高齢の方が多く、嚥下能力が低下されている方もいらっしゃいます。今回の講義で得た知識と患者さんとのコミニュケーションを通じてその方に合わせた投薬、アドバイスをしていけるようにします。

  普段の業務では触れることのない嚥下機能やトロミについて丁寧に説明してくださった。トロミに使う液体は、何でもいいわけではない。トロミは自己流でつけるのではなく、メーカー指定の用法用量で作成するのがベストだと知った。

  嚥下のことや言語障害・難聴につて今まで説明を聞いたことがありませんでした。在宅業務などの担当をしていないこともあり、外来での患者様の対応が中心になります。嚥下の状態を直接目にすることはないと思うが、患者様の状態を聞き取ることはできるので、困っていることがあればちょっとしたアドバイスはできるかなと考えます。フレイル予防のための飲み込みチェック・発声テストはすぐできることなので、お勧めしていきたいと思います。自分自身の親とかでまず取り組んでみたいです。聞こえにくい患者様もたくさんおられるので、大きな声を出すだけではなく、なるべく低めの声で話すようにしたいと思います。今回の講義は歳とともに自分自身にも関係してくる内容だったと思います。患者様・自分自身の状況を理解し、少しでもよりよい生活が送れるようにお手伝いしていきたいなと思いました。

  丁寧な説明と具体例が多く、現場で患者様に接している様子が思い描ける講義でとてもよかったです。

  歯の噛み合わせが嚥下機能に関与しており、ご飯を食べる時には入れ歯を入れているが、お薬を飲む時には入れておらず飲み込みにくくなっており、入れ歯を入れて飲むと飲めることもあるので、すぐに散剤やOD錠などの剤型変更等を考えるのではなく、どのように飲んでいるかも確認することが必要だと感じました。

  嚥下状況の把握、言語障害の見極めなど在宅等患者との関りが強くなるような場面で生きるものと感じました。普段病態、薬物治療の講義を聴く機会が多いが患者を包括的にケアする上でPT、ST領域の内容もある程度理解しておく必要があると感じました。

  とろみの具体的な話は興味深かった。食感が違うだけで同じ味つけでも美味しく感じられないとのこと。とろみも大事だが過介護(付けすぎ)にならないことも大事と認識した。難聴の解説もとても解りやすかった。今在宅訪問している方は普段の会話は大丈夫だが、電話の声が聞き取りにくい。電話では声が高くなるので特に聞き取りにくくなるとのこと。目から鱗だった。大きな声で話そうとしてさらに声が高くなっている可能性があるので、これからは落ち着いたトーンの声で電話してみようと思う。

  食べて話して聴いて楽しく生きる!正にこのテーマに沿った講演内容だったと思う。業務に活かすのはもちろんだが、自身の親も高齢になっており、今後身近に必要になる可能性のある内容なので、しっかりと頭と心に留めておきたい。

  誤嚥についての解説も分かりやすく、飲み込みにくさにもいろんな理由があり、実際に患者さんに介護の立場から接することと、薬剤師の立場からではわかりえないことも多いと思いました。薬の飲みにくさは、唾液をのみこむ回数が減ることで気が付いたり、入れ歯を装着した状態で飲むことが必要であったり、飲み込みには歯のかみ合わせも重要であるとのことだったので、ただ飲み込みにくいということですぐに嚥下困難という判断に結びつけることのないようにする必要があると思いました。高齢者の誤嚥性肺炎については、起こしてからの処置や対処に意識が行きがちでしたが起こさないようにするための知識の必要性も感じました。

  嚥下困難の患者様に服薬方法の提案の参考になった。また、患者様で難聴の方には筆談を利用しているが、マスクを外して話しかけることも大切だと思った。

  私の勤務する薬局は小児科の門前薬局のため、嚥下が困難なご高齢の方はあまり来局されません。そのため、在宅へ薬を配達する際に、嚥下機能の低下している患者様に嚥下メカニズムを理解した上で、声かけを行う必要があると感じました。また、施設の職員の方に、とろみ剤について質問された時は、正しいとろみの付け方を学ぶことができたので、アドバイスを行い、今後もきちんと勉強していく必要があると感じました。

  とろみ剤に使い方等初めて聞く内容も多く、興味深かった 食事中にむせることをヒアリングした後、その後どうしたらよいか、経緯の確認をし、その先をどうつなげていくか等とても勉強になった。普段の在宅業務で患者さんからのなにげない一言から会話の糸口からでもヒントになることも多いので困っていることがあったとき参考にしたい。違う職種の方からの話は薬剤師とは違った角度からの見方がありとても勉強になる。

  誤嚥はとても身近なはなしであり、関わっている施設でもたまに起こっている。知識を持った上で未然に防いでいくことから考えていきたい。またコミュニケーションについては早速実践したい。

  ただ講義を聴くだけでなく、実際の飲食物を嚥下してみたり、飲み込みチェックを実践してみたりすることで、嚥下の仕組みを深く理解できた。嚥下の先行期において、目や鼻、唇などで、熱さや硬さなどを予測することで、食べ物を口に入れたときにどういう動きをすればよいか無意識に判断していることを知り、認知機能が低下している方はうまく食べれない理由が分かった。薬に服用においてもいきなり口に入れると驚いて服用を嫌がる原因になることを知り、そういったこともアドバイスしていきたいと思った。

  嚥下状況に合わせた聴き取りもいままでより掘り下げた内容で実施できるようにして適切な薬剤選択や服薬支援につながる調剤を行えるようにしていきたいと思います。また、投薬の際にも患者さんが言いたかったことを正確に聞き取れるように失語症や難聴のレクチャーの内容を意識していこうと思います。

  勤務店舗周辺地域の特性として、80代以上が非常に多い地域。ご自身の足で普段から買い物に行かれたり、農作業をされたり、しっかりされた方であれば自動車運転もご自身でされている方もおられる。そのような方々は話もしっかりされていて、嚥下能に関しては現状問題ないように感じれる。一方で、感冒等の軽度感染症から一気に老いる可能性も多大に秘めておられることも否めない。感染対策も重要であるが、2020年以前の日常の在り方や地域の例大祭等の復活も見直し、地域でのふれあえたり話し合いを行えるコミュニティーの再生を考えていく必要があるのではないかと考える。地域との交流が減り、家族との交流も減っている今、今後の日本において嚥下に問題を抱える高齢者がますます増えていくのではないかと考える。早期発見・地域連携を行い、早めに予防に取り掛かれるように、高齢者の方々と日々話していきたい。

 


 

富永薬局のサンデーセミナー(通称『サンゼミ』)は、薬剤師であればどなたでも無料で受講できるオープンセミナーです。毎月第3日曜日に、Zoomによるオンライン配信で開講。受講薬剤師には「薬剤師あゆみの会」から、認定薬剤師の研修単位が付与されます。

 

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