第355回 サンデーセミナー
【日時】 2019年2月17日(日) 9:30~11:10
【会場】 岡山市勤労者福祉センター 4階大会議室
【講義プログラム】
■『誰もが暮らしやすい社会の実現~ユニバーサルデザインの理解~』
NPO法人まちづくり推進機構岡山 代表理事 徳田 恭子 氏
【研修認定単位】 1単位
ユニバーサルデザインとはバリアフリーとは異なり、年齢、性別、能力、国籍などに関わらず、はじめから全ての人にとって、安全・安心で利用しやすいように建物、製品、サービスなどをデザインするという考え方。日常生活の中で当たり前に使用したり見ているものが、実はユニバーサルデザインであるということが増えてきている。
<例>自動ドア、トイレのウォシュレット、ドラム式洗濯機、自動販売機の小銭をまとめて入れる部分、スマートフォン、お札の左下に指で違いが分かるように加工(1万、5千円、千円で幅も異なる)、お酒の缶にのみプルトップ横に点字、牛乳パックの開き口側に凹み 等々
『点字ブロック』の発祥は岡山市。今は世界に広がっている。
岡山県ではユニバーサルデザインを活用したデザインの建物等も増えてきている。
<例>倉敷第一病院:各階別にフロアの色を変えており、入院患者がフロアを覚えやすい。
<例>永山眼科:患者さんをタイプ別に分け、カルテにピストグラムを活用。他に、建物の階段を一段ずつ色を変えて何段あるかがすぐに分かるようにしたり、白内障などの方が一段ずつ踏み外さないように工夫している。緑内障の方等、色別がしやすいように看板やパンフレットの色合いを工夫する等。
座学のほかに、視覚障がい者の疑似体験とそのケアのしかた、高齢者疑似体験も行った。
《参加者の声》
視覚障がい者体験では
「全く前も後ろも暗闇で、周りに何があるのか?足元に何があるのか?怖い気持ちになった。」
高齢者疑似体験では
「肘や膝が曲がりにくく周りが見え辛い状況で、階段を降りたりするのがこんなに大変で怖いと感じるのは驚きだった。」
「今回のように実際に体験することでその方々の状態を理解することができた。日常生活や仕事の中でも相手の方のことを理解できるようにしていきたい。」
視覚障がい者への声かけは「何かお手伝いしましょうか?」よりも「どこかへ行かれますか?」等、具体的な内容のほうが良い。「何かお手伝いしましょうか?」だと返答に困り「大丈夫です」という回答になりやすい。
ユニバーサルデザインは、デザインや建物等に限ったことではない。『相手を思いやる心』があれば、公平で相手を敬う対応につながる。
例えば、レジで沢山の小銭を数えて出そうとされる高齢者の次に、若者がパン一つだけ持って「早くしてくれ」というような雰囲気があった場合、レジの係りさんが一言「今、お金出されているのでもう少しお待ちくださいね」があれば、若者のイライラ感も緩和される。
最後に徳田先生から「みなさんの薬局でもぜひ今回の内容を仕事に活用してもらい、患者さんにやさしく選ばれる薬局になってください」と激励いただいた。