第361回サンデーセミナー(2019年8月)注目の最新医療知識 <再生医療>

第361回 サンデーセミナー
【日時】 2019年8月18日(日) 9:30~11:30
【会場】 コンベックス岡山 2F 中会議室6
【講義プログラム】
 ■『iPS細胞、間葉系細胞等を用いた再生医療の現状』
  中西 徹 教授(就実大学薬学部薬学科)
【研修認定単位】 1単位

 P1160420

 

 

中西徹教授は、ヒトゲノムの解析結果を創薬に応用した、新しいタイプの関節リウマチ治療薬の研究で世界的に著名な研究者。
今回のサンゼミでは、ES細胞からiPS細胞、間葉系細胞への遍歴、iPS細胞のしくみと課題、間葉系細胞による神経系の新しい治療など、「iPS細胞、間葉系細胞等を用いた再生医療の現状」をテーマにたっぷりお話しいただきました。しばしの間、刺激的なニューサイエンスの世界に浸り、「街の化学者」である薬剤師たちもワクワクが止まりません!

 

最先端の研究に取り組む一方、地域の児童を対象としたiPS細胞観察会などの学外行事を手がけている中西教授。事前予約すれば、実際にiPS細胞を見せていただくこともできるそうです。

 

【受講者のこえ】

山中先生のノーベル賞受賞などで世間でも一時トピックスとなったiPS細胞だが、最近は大きな話題もなくどうなっっているのかと思っていた。ご講演を拝聴し、まだまだ難しい問題が多くあることを知って先行きに不安を覚えましたが、対して間葉系幹細胞については素晴らしい成果が上げられており、頼もしく感じました。コスト面の問題はありそうですが、将来の再生医療のために研究を続けていっていただきたいです。患者さんとのコミュニケーションにも役立つ講演だったと思います。

 人柄とかエピソードとか、創薬の裏話(?)的なお話が聞けて面白かったです!内容は少々難しかったです。学生時代に解析していたけれど、もう記憶の彼方…。子供が小学生になったら、一緒にiPS細胞観察会に参加したいなあと思いました。

 今回の講演はどちらかというと研究者や病院薬剤師向けの内容でしたが、中西先生は、普段聞けない放射や遺伝子工学の話、現在の研究についてユーモアを交えてお話しくださって、たいへんに楽しく有意義でした。つい先月にもiPS細胞を作ったお話や、実際に見ることができるイベントを紹介され、再生医療をより身近に感じることができました。

 iPS細胞についてすごく分かりやすく伝えて下さり、楽しく勉強ができました。iPS細胞というとまだまだ身近には感じられない気がしますが、治療だけでなく、肌のアンチエイジングなど美容の分野でも研究されていることを知り、様々な悩みを持つ患者さんにiPS細胞の可能性などを伝えたいと思いました。がん検査や腸内細菌、口腔細菌を調べることによって遺伝子異常を見つけるゲノム治療について聞き、不安を感じている患者さんにこういったものがあることを投薬時にお伝えし、活用してもらって早期発見に繋がるようにしたいです。

 がん治療や関節リウマチ治療などに用いられる分子標的薬は薬局業務で直接関わることは少ないですが、その治療を受けている患者さんとは接することがあるので知識を深めておきたいと思いました。細胞を用いた研究が次々と進展していく中で、ES細胞のように倫理的に規制があったり非常に奥深く難しい分野であることを認識しました。

 今まで再生医療について頭の中で整理できていませんでしたが、ゲノム医療は異常タンパク質を標的にした治療法であること、そして細胞治療においてはiPS細胞、ES細胞、間葉系幹細胞の違い、特徴、デメリットが整理できました。また山中教授、本庶先生の裏話も織り込んで下さり、研究に対する信念に胸を打たれました。現在、再生医療はES細胞に回帰しているとのことですが、日本発のiPS細胞の今後の活路(慢性期、アンチエイジング、動物実験の代替えなど)に期待したいです。

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