第392回 サンデーセミナー
【日時】 2022年 3月27(日) 8:50~11:40
【会場】 zoom会議室
SWITCH WORKS(岡山市北区本町6-30第一セントラルビル2号館7階)より中継
【講義プログラム】
■『中心静脈栄養法に伴う医療材料について』
田邊 理志 氏
(ニプロ株式会社)
■『高齢者と頻尿』
甲斐 誠二 先生
(岡山赤十字病院 泌尿器科副部長)
【研修認定単位】 1.5単位
令和4年度調剤報酬改定では「在宅患者への薬学的管理及び指導の評価の拡充」がポイントの一つにあげられました。
今後在宅療養はますます身近なものになり、薬局薬剤師の関りもさらに広がります。在宅患者さんに適切な服薬管理指導ができるよう準備しておきたいですね。
第392回サンゼミオンラインは、輸液と栄養についての講義からスタートしました。静脈・経腸栄養の分類とその特徴、使用される医療材料や機材、取扱いの注意点等を学びます。
【受講者のこえ】
■ 経腸栄養を利用している患者さんがいらっしゃるので、その患者さんやご家族に接するときに今回の講演を念頭においておこうと思います。誤接続防止のためにどのようにコネクター工夫しているのかがよく理解できました。
■ 施設でも胃ろうをしている患者さんがいるので、今は薬局で用意することはないが、チューブ型やボタン型のメリット・デメリット、バルーン型やバンパー型のメリット・デメリットについて知ることができたので、何かあった時はアドバイスできるようにしたい。
■ 処方箋を見て発注することはあったが、実際どのように使われているのか実物のイメージができて良かった。発注時に書き写しているだけだったが、使用イメージを持ち、処方量が間違いないかも確認していきたいと思った。フィルターに吸着しやすいもの、相互作用など再確認できてよかった。
■ 投薬時に消毒薬や抗生剤の軟膏などが出て、体内にカテーテル入れている方の家族と接することがまれにありますが、この手の用語・機器に疎くなっているので、図入りでいろいろ見られて今後の会話時に参考になるなと思いました。薬局で働くようになってから輸液セットとか調整とか無縁になったので、10年以上ぶりで新鮮でした。考えたことなかったけれど、輸液も証明じゃなくて一般名で書かれるようになってる人なら面倒くさいなあと思ってしまいました。院内で時々起こっていたので、針刺し事故防止の針ができているのは良いことだなあと感じました。それぞれ専用のコネクタって大事だなと思いました。
■ 経腸栄養から実際に回復された患者様を見た事があるので、それを念頭において業務に励みたい。
■ 在宅の輸液管理、経腸栄養管理を薬剤師が行うことも増えてくるのでしっかり学習しておきたい。将来の薬局の姿のために役立つ内容でした。
つづいては、地域連携「岡山赤十字病院」シリーズの第7回目。泌尿器科の甲斐誠二副部長にご登壇いただきました。
超高齢社会の現在、ただ長く生きるのではなく「よりよく生きる」ためのQOL(生活の質)が重視されていますが、高齢者のQOLを下げる要因のひとつとなっているのが「頻尿」です。とくに、寝ている間トイレに何回も起きる夜間頻尿は、睡眠不足になったり、寝ぼけてトイレに行くことで転倒につながるケースもあります。日本では50歳以上の2人に1人は夜間頻尿の悩みを抱えていると言われますから、泌尿器科以外で来局される患者さんの中にも、実はお困りの方が多いかもしれません。
高齢者の頻尿についてその原因や生活に与える影響、治療法について、多くの症例を具体的に学ぶことができました。
「尿失禁はフレイルの早期マーカーになる」
「下部尿路症状を改善すればフレイルも改善する」
というお話は、フレイルチェックに力を入れている富永薬局の薬剤師たちを奮い立たせてくれました。
【受講者のこえ】
■フレイルと頻尿の関係についてエビデンスをもとに説明していただいたので理解がたいへん深まりました。症例を交えて講演していただいたのでとても分かりやすかったです。また、その中で排尿日誌の必要性をより感じました。
要介護になっている人で治療する意向が無い方が意外と多く、それに反して介護する人の方が多いので、特にご家族から今回の講演の内容を踏まえて治療の重要性を話していこうと思います。
頻尿といっても、頻尿から抑うつ→社会活動制限→フレイル など、日常生活に大きな影響が出ることが分かった。頻尿のアドバイスの一つとして、減塩も指導していきたいと思います。
■頻尿はよくある症状だがフレイルや精神状態も関与することを知ることができて良かった。投薬時に今回の内容も踏まえながら話を進めていきたい。治療薬の詳しい特徴を知ることができて良かった。患者背景を考える一つの判断材料になると思った。
■水分摂取量の目安は聞かれた時に説明しやすそうなので使います。夜間頻尿と筋量、骨折、不眠、薬剤(SGLT2など)いろいろなものが影響しているのをふまえて患者さんに向き合わないといけないと思いました。
フレイルと頻尿がこんなに相関性のあるものだとは思いませんでした。問診でとんでもないことが発覚して疑義になる事があります。これからも聞き取りを丁寧に続けようと思います。
■排尿日誌の存在を初めて知りました。毎回記録するのは大変そうですが、排尿間隔や尿量を把握するのに有効と分かりました。水分摂取を勧める薬については「普段よりもコップ2杯ほど多めに飲むのを目安に」と指導します。尿の色が濃い時、のどが渇いた時にも1杯飲むことを指導します。
■頻尿の相談をされる60~70代の患者様が多くいらっしゃいます。フレイルの関連もあるとのことで、フレイルチェックや骨盤底筋トレーニングの勧めや生活状況の問診など行い、QOL向上に努め、知れでも改善しない場合は泌尿器科への受診へつなげるよう声がけしたいと思いました。
■高齢者の頻尿治療に抗コリン剤が使用されている時は認知機能低下・便秘・尿閉注意。αブロッカーが使用されている場合は起立性低血圧に注意。夜間頻尿には塩分糖分を控えたり、昼寝の際に足を上げたり、夕方に運動したりして浮腫改善しておくことは有効。
患者さんに生活指導するときは具体的にどうするか説明する必要があると思いました。
■薬の適切な使用のみでなく、日常生活の中で泌尿器症状の改善が期待できる点があれば服薬指導の中で提案できるようにする。また他病院処方や市販薬の重複しようがないか注意する。
■近くに泌尿器科があり処方せんを受けることが多いです。BPHやOABをただの老化として捉えるのではなく、フレイル、肥満、睡眠、食事(減塩)と様々な因子があることがわかったので、投与時に減塩や夕方30分の散歩や肥満等についてアドバイスを行いたいと思います。データの見方も含め、日常診察されている医師から具体的な説明を受けることができて良かったです。
■薬を飲んでも頻尿が改善されないという患者さんに生活改善でかわることがあることをアドバイスしていきたい。お薬手帳に記載されていない情報や、持参されない患者さんからの聞き取りが重要なことがわかりました。
■高齢の患者さんは内科・整形などを経て泌尿器科を受診されることが多くあり、併用薬の服薬状況の確認に注力したい。泌尿器科領域における頻尿の臨床治療について分かりやすくご講演いただき深く理解することができました。
■夜間頻尿の改善のためには減塩・排尿日誌が大切で、行動療法が重要であることをお伝えしていきたいと思う。抗コリン薬では副作用の発現に注意していきたい。
患者様からトイレの相談を受けた時にフレイルチェックを行うことで良い指導に繋げることができます。
■排尿障害の治療薬の服薬指導は難しいと感じることが多かったが、今回の話を聞いて、生活とくに睡眠に影響が出ているかどうかが重要と分かり、そのあたりを中心に確認していこうと思った。排尿障害について学ぶ機会はあっても、頻尿について詳しく学ぶ機会はこれまでなかったのでとても参考になりました。
■ガイドラインにおける第一選択は行動療法となる。薬局で投薬治療が始まってからも行動療法は継続となるので、投薬時に声掛けをしていこうと思う。多くの症例を紹介しながらの講演でとてもわかりやすかった。
■頻尿や残尿で通院されている祁齢の患者様の多い職場のため、本日のご講油で原因と病態を詳しく学ぶことができた。
なかでも水分の過剰摂取や塩分制限が夜間頻尿に有効であるとのお話が特に印象に残った。治療をしているがあまり効果を実感できていないと感じているお話をうかがうことがある。服薬指森の際、血液さらさらを鵜呑みにして過剰に水分を取り過ぎておられませんか?や減塩が夜間の尿量を減らしたり血圧の上昇を抑えるので張って塩分控えた味薄め頑張りませんか?など明日から投薬に生かしていきたい。