第397回サンデーセミナー(2022年8月)【オンライン】地域連携「岡山ろうさい病院」シリーズ③

第397回 サンデーセミナー

【日時】 2022年 8月 21(日) 9:50~12:30

【会場】 zoom会議室

【講義プログラム】

 ■『新規薬剤による慢性心不全治療―fantastic fourを中心に―』
  宗政 充 先生
  (岡山ろうさい病院 循環器内科部長・循環器病センター長)

 ■『慢性咳嗽治療の歴史と今後の展望』
  谷村 徹 氏
  (杏林製薬株式会社)

【研修認定単位】 1.5単位

   

地域医療における病薬連携、今回は岡山ろうさい病院の宗政充先生(循環器内科部長)より「新規薬剤による慢性心不全治療-fantastic fourを中心に-」をご講演いただきました。

 

心不全とは、『心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気』と定義されています。高齢になるほど増加する傾向にあり、患者は年々増大。
「心不全パンデミックがいつ起こってもおかしくない」と、宗政先生は警鐘を鳴らされます。

 

心不全患者は、塩分・水分制限の不徹底や、感染症、服薬アドヒアランスの低下などの理由で再入院する方が多いそうですが、その予後は癌よりも悪く5年生存率は50~60%とか。
予防の面でも、退院後の療養生活の面でも、地域の薬局薬剤師が果たせる役割は大きそうです。

 

慢性心不全の社会傾向、心不全の薬物治療の変遷、新しい作用の薬剤など、症例やデータを交えながら分かりやすくご講義いただき、新ガイドラインの改定ポイントも教えていただきました。
「とても聞きやすく、よく理解できました」と受講した薬剤師から好評のセミナーでした。

 

 

 

 

【受講者のこえ】

  慢性心不全の定義が理解でき、原因と最近の治療薬についてよく分かった。薬局では処方せんと患者様からいろいろ情報を確認しながら服薬指導を行っているが、診療ガイドラインを学ぶことで病状の理解につながることが理解できました。

  新しい治療アルゴリズムの提案や、実際の症例の紹介など、講師の宗政先生の診療経験に基づいたお話をうかがうことができ、大変参考になった。普段心不全の治療薬については、種類が多く、指導方法も迷うことも多いが、今回学んだことを参考にして指導を行っていきたい。

  門前の先生の講義だったので、今回の講義をすごく楽しみにしていました。どんな感じの先生なのかなと。お話しは聞きやすく、心不全の治療がどのように行われているのかとてもわかりやすかったと思います。処方内容からどのように考えるといいのかを知ることができました。最新の話題について知ることができて良かったです。

  心不全の治療についてわかりやすくお話してくださり、とても勉強になりました。

  疾患についてや治療における注意点などとても分かりやすかった。話されるペースも聞き取りやすかった。

  数年前に母が心不全で入院した際、治療方針についての説明をもっとしっかり聞ければよかったなと思いました。わかりやすいセミナーで参考になりました。

  新規薬剤による心不全の治療、内容が新鮮な所もあり勉強になりました。具体的な治療方針や注意すべきことがよく分かった。

  非常に有意義であり、知識の習得につながった。スライド資料もお話も大変わかりやすく、「なんとなく聞いたことはある」という言葉も、今回の講義を通して、以前よりも理解度が上がった。

  勉強になりました。最近心不全の適応が追加になった薬もあり、最近の処方の動向も伺えてよかったです。

  自店ではあまり心不全の治療薬を調剤する機会は少ないですがお薬手帳では見かける機会も多いのでとても為になりました。心不全は家族に罹患している者がいるので再入院の多さはなんとなくイメージがついていましたが、癌より予後が悪いのは意外でした。

  心不全に適応追加された薬について気になっていたので、学ぶことができてよかった。貴重なご講演をありがとうございました。薬のポイントについて要点が凝縮されていてとてもよかったです。

  とても解りやすく、興味深く参加させていただきました。心不全は、外来の処方から増えているのは感じているが、最近の治療法についてはあまり熟知していなかったので、とても勉強になった。わかりやすく示していただき、ありがとうございました。

  講師の素晴らしい講義で有意義な時間でした。関係者の皆様に感謝します。慢性心不全治療に関しては、患者が高齢の方も多く、服用される薬剤も多種多様にわたるため、禁忌の薬に注意することはもちろんのこと、腎機能や各検査データを見比べながら服薬指導を行っていこうと思う。 ガイドライン推奨治療を遵守することで患者さんの予後がアップするデータもあるため、しっかりとガイドラインを理解し、それに沿った服薬指導をしていこうと思う。

  現場の医師による、診療ガイドラインに基づいた薬部治療アルゴリズムを聞くことができて、大変参考になった。使用されている薬物によって患者様の状態を考えながら服薬指導に生かせる。

  心不全治療というとACE阻害薬というイメージが強かったですが、最近はFantastic Fourが治療の根幹となってきており、その中でもARNI,SGLT2阻害薬は最近発売或いは適応が追加された薬でもあることが分かりました。それぞれの薬に特徴があり、調剤の際に注意が必要だと思いました。更にFantastic Fourの中の一つであるβ遮断薬においても喘息患者に禁忌の薬もあるため既往歴の確認をしっかり行おうと思いました。

  現在の勤務先は地元のご高齢の方が多い薬局です。ほとんどの患者さんが高血圧、糖尿病、脂質異常や肥満など動脈硬化により心臓に負担を強いている状態ですが、血圧や血糖値には過敏に反応されるが、嗜好品のタバコや塩分については老い先短いからと積極的に止められようとせずその先の心臓の最終局面を意識されていません。本日の講義で知り得たことから、肺炎や癌だけでなく心不全を起こして高齢方が入院されると、足腰が弱くなるだけでなく退院後数ヶ月にわたり再入院を繰り返し死亡リスクが高い状態になる。またそれを回避するために、定期受診と服薬で基礎疾患の良好なコントロールが必要であること、予防のためのよい生活習慣(運動・肥満予防、禁煙、減塩・節酒など)を身につけることが重要であり、それが心不全予防の第一歩であることをお伝えしたい。投薬の時には初期症状の疲労感や息切れ、下半身の浮腫手足の冷感などが起こっていないか声かけし、これらの症状がある場合は受診をお勧めしたい。 

  

 

つづいて、杏林製薬株式会社の谷村氏から『慢性咳嗽治療の歴史と今後の展望』をご講義いただきました。

 

咳は元来、異物を出す生体防御反応のひとつなので、安易な咳止めの乱用は良くありません。
市販の咳止めには、覚醒剤の原料となる物質が含まれ依存性があるものもあります。

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咳は様々な病気の症状で現れ、多くは原因疾患の治療、生活環境や習慣の見直し等でおさまります。
しかし長引く慢性咳嗽は、患者さんの体力と精神力を削り、抑うつや不安、睡眠障害、労働生産性の低下などQOLの低下につながります。また最近では、新型コロナウイルス蔓延の影響で、周りの目が気になるといった患者さんの悩みも無視できません。
今年、難治性の慢性咳嗽に新しい作用機序の咳止めが発売されました。実に50年間新しい咳治療薬が発売されてこなかったことに驚くばかりです。

 

 

【受講者のこえ】

 ■ 慢性咳嗽の治療については、これまで、喀痰調整薬や漢方薬を使用するケースばかり目にしてきたが、それ以外の治療薬についても知ることができた。ガイドラインに基づいたお話でわかりやすかった

 ■ セミナーではいろいろな知らないことを知ることができて、嬉しく思います。新薬情報が聞けてよかったです。慢性咳嗽という治療の難しい分野での新しい作用機序の薬ということで、聞いていてうれしい気持ちになりました。

 ■ 慢性咳嗽についてわかりやすい抗議で勉強になりました。長引いている咳は感染症か、咳喘息だと思っていたので、慢性咳嗽という言葉を知りませんでした。プラセボでもかなり効果があることもよくわかりました。

 ■ 咳の病態についての整理、添付文書上から考えられるポイント等を学ぶことができてとても勉強になりました。

 ■ コロナ禍で咳止めの需要が高まっている中、咳止めの歴史が聞けて良かったです。

 ■ 咳という症状だけでは根本の疾患が把握できないことも多く病院での問診、検査等が欠かせないと思いました。また今回の講義てあった適応外使用で慢性咳嗽に対してリリカが用いられることは初めて知りました。

 ■ 咳といったよくある生理反応について深く考える機会があってもいいものだなと思いました。またCovid-19感染症が増えてきている昨今のトピックとしても非常によかったのではないかと思います。

 ■ 身近な咳という症状を深く話を聞くことができ、興味深く参加させていただきました。自分も過去に咳で困ったことがあったので、とても興味深く拝聴しました。TRPV1 受容体阻害薬が、今後出てくることも聞けて、治療の幅が広がるのでありがたいです。

 ■ 耳鼻科門前のため、子供からお年寄りまで咳症状を訴える方に対応することは多く、普段よく扱う薬剤が話題に上がっていて改めて理解を深めることができたように思う。中枢性薬剤が誤嚥反射もブロックするのは盲点だったので、投薬時に慢性的に使用していないかチェックする必要があると感じた。コデイン系の依存にも注意。

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