第410回サンデーセミナー(2023年9月)【オンライン】《多職種連携》高齢化社会の歯科医

第410回 サンデーセミナー

【日時】 2023年  9月 10日 (日) 9:50~12:30

【会場】 zoom会議室

【講義プログラム】

 ■『裸の歯科医パート2 今までの歯科医 これからの歯科医』
花房 英樹 先生 (医療法人華城会理事長 はなふさ歯科医院)
 ■『保険薬局における医療・衛生材料の取扱いについて』
中嶋 一仁 氏 (ニプロ株式会社

【研修認定単位】 1.5単位

   

世界に先駆けて超高齢化社会を迎える我が国では、2019年の骨太方針で「人生100年時代」を見据えた対応策として『健康寿命の延伸』が掲げられました。

健康寿命の延伸を通じて、個人の生活の質を高める効果に加えて、健康に働ける高齢者が増えることで、生産年齢人口の減少や社会保障費の増大にも対応できるとされています。

 

「(ほぼ)健康な人でも来院しやすい」という歯科の特徴と、予防のための受診が保険医療で認められている強みを活かして、岡山市南区地域の健康寿命延伸に精力的にアプローチしているはなふさ歯科医院。

一方、わたしたち調剤薬局も、フレイル予防、未病時からの健康づくり、セルフメディケーションへの助言、禁煙サポートなど、住民がアクセスしやすい地域の健康ステーションの役割を期待されています。

華房英樹先生のお話からは、薬剤師が「患者のための薬局ビジョン」を現実のものにするための手掛かりが見つかりそうです。

 

花房英樹先生、貴重なご講義をありがとうございました。

 

 

【受講者のこえ】

  口腔内がいかに大事か、折に触れて聞く機会は人よりあったはずですが、予想を大きく上回って、いろんな問題につながるのだな…とケアの重要性を再認識しました。フレイル予防は此処にも繋がるのか…。

「この薬飲んでること伝えてね」くらいしか歯科に関しては患者さんに話したことがなかったが、相談内容によっては、もう少し歯科受診を積極的に勧めてみようと思います。チーム医療にこれだけ歯科が重要な分野があるとは正直思っていませんでしたが、今後は協力していけたらいいなと思いました。これだけ活路を見出した歯科を見習って、薬科も考え方を見直して、もっと積極的にいろいろな活動にかかわっていかなければいけないなと感じました。

  まず口を臓器の一部と認識される考え方に学びがありました。「口は命となる食入り口であり、感情の出口であり、また病は口から入り、時に人を傷つける災は口からでる。口腔は消化器、呼吸器、感覚器の入り口で、免疫器官、発音器官、意思表現器官の多様な機能をもった臓器である。」との教えは、普段当たり前のように感じていた口腔に対するイメージをがらりと変えるもので心打たれました。今までは口はどちらかといえば局所部位であり、まさか歯周病等が引き金とって肺炎や抜歯後の菌血症等の全身疾患へ繋がる可能性もあると思うと怖いと感じました。また訪問歯科診療がある事を初めて知り、地域包括ケアシステムが普及する現代に医科、歯科、薬科、看護の医療連携による情報共有はますます大事になっていく事であろうと理解できました。

  歯医者さんと言えば、確かに虫歯になったり治療を要する時にしか出向かないですが、健康のうちから予防的に受診する事が大切なのだとわかりました。「口を臓器」と考えるのならば、他の臓器と同じように定期的な健康診断をするべきだとの考え方に共感しました。また防げる生活習慣病を歯科受診で気づき、不適切な食生活を病気になる前段階で食い止めれるきっかけになり得るならば、歯も綺麗になって病気も防げて一石二鳥だと歯科治療の新しい在り方を自分自身の生活の他、他の人にも広めたいなと思いました。また骨の薬を飲まれる高齢者の方も多いので、顎骨壊死になる前に早期受診を積極的にお声がけをしていきたいと思います。

  口について深く考えることができてよかったです。印象的だったのは「噛むことは最高の健康法」の言葉で、とても共感致しました。硬いものが食べれなくて食事に困っている祖父が、幼い頃から「歯はよく磨いとけよ」と言われてきました。噛むことは、口活、脳活、筋刺激、腸活につながり体の機能が活発になるだけでなく、噛む楽しさで気持ちまでも向上するので、口という臓器は人生を豊かにしてくれる入り口なのだと今日の講義を聞いて改めて歯を大切にしようと思えました。

  歯科医の活動分野が変わってきている。歯の治療に来る患者を待っている時代は終わった。施設などに訪問診療して高齢者のオーラルフレイルを予防することで、フレイルを予防していったりすることが必要である。それが地域へ貢献することにつがる。薬局からもワーファリンを飲んでいることを歯科のDRに伝えてと患者に服薬指導するなど自らの価値を多職種に発信していくこが大切である。以上学んだ知識を今後の業務に活用したいと思います。薬剤師もこれからの社会のニーズに合った仕事をしていかなければ生き残れないと感じました

  なぜ歯科医がそう考えるのか、なぜ必要と考えるのか、などの詳細が提示されていたため、大変わかりやすかった。また、歯周病の進展の影響や歯茎への金属片埋め込みのメリット・デメリット、噛むこと・唾液分泌のメリットなども発言されていて、非常に有用な情報をいただくことができた。予防医療や人の尊厳の重要性を再確認することができた。人へどんな価値を提供するのか、歯科医が提供している価値がある一方で、薬剤師が提供できる価値は何があるか、この業界で・この企業で何が提供できるのか、を改めて考えさせられた。また、楽しく食を摂るためにも、運動機能低下の曲線を緩やかにする必要がある。ただ知識の伝達を行うだけはなく、参加型の価値の提供を行っていけたらと考える。行動を起こしていかなければと考える。貴重な講義をありがとうございました。子供が使う食器類を親と共有する際に注意することのお話もあり、有意義な時間となりました。

  資料が多く、色々な角度から物事をみること出来、歯科が従来の「歯、歯茎の検診・治療」にとどまらず、医科薬科と連携して患者の健康に積極的に寄与していく時代なのだということが理解できた。

  歯肉炎や虫歯は、感染症として誤嚥性肺炎など他の臓器へ影響を与えることが知られてるが、炎症物質や細菌が血液に入ることで全身の炎症反応を引き起こし、がんや糖尿病、脳梗塞、狭心症などを起こすリスクも増加させる。健康寿命をのばすためには、早い段階から継続して予防していく必要があり、そこで、定期的な口腔ケアを行う歯科が関わっていける。歯科医院が手広く色々と介護に関わっていこうとしているのは意外でした。そういった視点を聞いたのは初めてだったが、薬剤師としてもそういった他の職種の関わりを理解しながら連携することで、一緒に関わっていきたいと思う。

 


 

富永薬局のサンデーセミナー(通称『サンゼミ』)は、薬剤師であればどなたでも無料で受講できるオープンセミナーです。毎月第3日曜日に、Zoomによるオンライン配信で開講。受講薬剤師には「薬剤師あゆみの会」から、認定薬剤師の研修単位が付与されます。

 

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